福岡で胆嚢ポリープが見つかったら?消化器内科・外科医が語る治療法と注意点―りょうすけ内科外科コラム

胆嚢ポリープは多くの場合、無症状で偶然に見つかることが多く、そのサイズや成長速度によって治療法が異なります。小さなポリープであれば、経過観察が推奨されることが多いですが、ポリープが大きい場合やがんのリスクが高いと判断される場合は、手術による摘出が検討されます。今回は、治療を受けるにあたり、患者様が知っておくべき注意点や治療法を解説していきます。

1.胆嚢ポリープの基礎知識

胆嚢ポリープは、胆嚢内壁から成長する小さな突起物のことを指し、多くの場合、無症状で偶然の検査で発見されます。これらのポリープは、大部分が良性であるものの、一部にはがんへの進行リスクを持つものもあります。サイズが小さい場合は通常、経過観察が推奨されますが、大きさや成長速度、患者の病歴に応じて、治療方針が異なる場合があります。

胆嚢ポリープの主な原因とできやすい人

胆嚢ポリープの明確な原因はまだ解明されていませんが、いくつかの要因が関係していると考えられています。

例えば、肥満、脂質代謝異常、耐糖能異常(糖尿病予備軍)、胆石症、胆嚢炎、加齢女性、出産経験、家族歴などの要素を複数持つ方は胆嚢ポリープができやすいと考えられます。

そのため、40歳以上の女性で、肥満気味な方は要注意です。更年期の時期に入り、女性ホルモンが減少してくると太りやすく、ポリープのできやすい状態になってきます。また、家族に胆嚢ポリープや胆嚢癌の人がいる方は、若くても注意が必要です。

ポリープの種類とそのリスク

胆嚢ポリープには、コレステロールポリープ、炎症性ポリープ、腺腫など複数の種類が存在します。コレステロールポリープが最も一般的で、通常は良性です。しかし、サイズが1cmを超えるポリープや、腺腫などの特定のタイプは、胆嚢がんへの進行リスクが高まるため、注意が必要です。ポリープの種類とサイズに応じてリスクを評価し、適切な治療を行うことが重要です。

胆嚢ポリープ診断の流れ

超音波検査が胆嚢ポリープ診断の第一歩として広く利用されています。

健康診断や別の疾患で超音波検査をした際、偶然見つかることがほとんどです。

ポリープのサイズや数、形状を詳細に評価し、診断後、ポリープの種類や患者の全体的な健康状態を考慮して、経過観察、追加検査、または手術などの治療方針が決定されます。

2.福岡での胆嚢ポリープ治療法

非侵襲的治療法:経過観察の基準

胆嚢ポリープのサイズが10mm未満で、特に症状を引き起こしていない場合、積極的な治療ではなく経過観察が一般的です。定期的に超音波検査を行い、ポリープのサイズや数、形状の変化を監視します。観察期間中にポリープが急速に成長する、または1cm以上になるなどの変化が見られた場合、治療方針を再評価し、手術的介入が検討されます。若い人(20代~30代)で小さい胆嚢ポリープが見つかる人は約10~20%と言われています。年齢とともに増加傾向にあり、男女差はあまりないのですが、女性の方がわずかに多いようです。

ほぼ無症状で、特に治療も必要ないのですが、その後の生活習慣や加齢、ホルモンバランスの乱れなどにより、ポリープが成長する場合もありますので、健康的な生活習慣を維持するよう努めることが大切です。

手術的治療法:胆嚢摘出術の適応

胆嚢ポリープが1cmを超える、または経過観察中に悪性の可能性が高まると判断された場合、多くの医療機関では胆嚢摘出術が行われます。ポリープだけを摘出することはできないことと、癌化のリスクを根本から除去するために、胆嚢を全摘する手術になります。

近年は、腹腔鏡を使用した低侵襲手術が一般的で、小さな切開から手術器具を挿入し胆嚢を摘出します。手術後の回復期間は比較的短く、多くの患者が迅速に日常生活に戻ることができます。全身麻酔で行いますが、目が覚めると次の日からは軽いリハビリが開始されます。痛みはありますが、少しずつでも身体を動かすように指導されます。これは、術後の腹部の癒着を防ぎ、術後の回復を促すためです。

3.治療後の生活と長期的なケア

胆嚢を全摘した後は、ポリープや胆嚢炎、胆のうがんのリスクはなくなります。

ただし、生活習慣を改善しなければ、高血圧や糖尿病、心筋梗塞などその他の病気のリスクが高いままになります。

また、ポリープが小さく無症状だからといって過信していると、ポリープが大きくなったり、癌化のリスクも高くなりかねません。

当たり前で、よく言われることですが、生活習慣を良くし、健康を維持するには、バランスの取れた食事、定期的な運動、十分な休息、ストレス管理がなにより重要です。

4.まとめ

健康診断などで胆嚢ポリープが見つかった方は、ポリープ=がん?と驚かれる方もいるでしょう。大きさや形をしっかり確認して、問題なければ特に何も治療は必要ありませんし、多くの方が持つありふれたものなので、安心してください。ただし、生活習慣が悪くなり、加齢やホルモンバランスの変化など複数の要素が重なれば、大きく成長する可能性もあります。しっかり、健康的な生活を心掛け、定期健診もぬかりなく行いましょう。